SUBARU ワクワクで、未来を

Text by 大西健斗
Photography by SAFARI inc.

2023.05.02 スバル初のビッグプロジェクト、
新施設の誕生に迫る!

とある初夏のこと。スバルのスタッフが机を囲んで、なにかを企んでいました。どうやら「320」と呼ばれていて、極秘で進めているプロジェクトの会議だそう。話を聞いていくと、スバルが今までにない新しい福祉の複合施設をつくろうとしているのだとか! 一体どんな施設になるのでしょうか……この企画では新施設誕生までのプロセスを追いかけます!

地域と福祉の未来をつくっていく新施設を羽曳野に!

事前に仕入れた情報によると、このプロジェクトは新型コロナウィルス感染症がまだ世間を困らせるずっと前から企んでいたことなんだとか。羽曳野の周辺に住まわれているご利用者の高齢化対策、そして医療体制を充実させられるような施設をつくりたい!との想いから、今のぐっぴぃがあるすぐ近くの広い土地を購入したことがキッカケに。さて、どんな施設をつくろうか、というところでコロナ禍となってしまい、しばらくプロジェクトを中断していたそう。ようやくコロナ渦も明けてきた最近になって、いよいよ本格的に再スタートするということで、今回の秘密会議に潜入調査してみた。

おや……? なにやら、図面のようなものが出てきた。あれはどうやら「320」を建設する予定地と周辺の地図のようだ。この図面の通り「320」の土地が通りに面していることから、ここを「交流の場所にしよう!」という構想になっているもよう。地域の人たちが交流できたり、ご利用者が就労できるような場所にできたら……地域と福祉の未来をつくっていくような場所にできないか、という想いがベースにあるという。対して、奥まった敷地内にある現在のぐっぴぃは、立地的にもプライバシーを守れることから、これまで以上に高齢者向けの生活介護や医療体制の充実、また今ある給食棟を活用した食の拠点にしていく方針になっているらしい。

そうした棲み分けを前提に、この日の会議では「320」の施設内でどんな取り組みを行うのがよいのかが話し合われていた。当初、敷地の真ん中あたりには畑をつくって、施設内にはカフェスペースやご利用者が日中活動などで活用するアトリエやギャラリー、そしてランドリーを設けよう、というアイディアでまとまっていたそうだが……。「交流の場所」としての役割をさらに広げるため、ランドリーのスペースをもっとほかの方法で活用できないものか……ということで、スタッフたちでまとめてきたアイディアが、代表の佐藤さんとそのほかプロジェクトチームによって発表・提案された。果たして、どんなスペースに?

見たことない「コンビニ」と「レンタルスペース」ができる!?

今回プレゼンしていたのは、スバルの頼れるリーダーたち。柔和な笑顔が素敵なスギムラさんと、健やかマッチョなウエマツさんだ。

スタッフから集まった「こんな施設になってほしい!」「こんなことがやりたい!」といった意見には、サークルや放課後活動のように集まれる場所だったり、カラオケや映画館、ボーリングなどのレクリエーションが楽しめるような場所。また常設ではないフリースペースのような設備といった声がたくさん寄せられたという。ほかにも、写真スタジオやいろいろな職業体験ができる場所であったり、地域やご利用者に活用いただけるようなレンタルスペースなど。また、射的やスマートボールのような昔ながらの縁日のような遊びができると楽しいのではないかといった意見も。

特にたくさんの票が集まったのは、駄菓子屋さんとコンビニ。ぐっぴぃの近くにはコンビニがないこともあり、必要なものを買い出しに行ったりできると便利なのではないかとのこと。

レンタルスペースのアイディアについては、成人式だったり節目のタイミングなどで写真が撮れなかったご利用者のために、ご家族とゆっくり記念写真が撮れるような機会をつくれないか。また、マッサージや脱毛など美容サロンを設けて綺麗になってほしいなど、自分たちではサポートできなかったサービスを利用していただいたり、思い出に残してほしいという想いから生まれた発想なんだとか。(どこまでもご利用者思いな人たちだ……)

こういった意見を集約して、スタッフやご利用者にとって便利なものが集まる「コンビニ」としての店舗の常設。そして町の人たちとシェアしたり日によって内容が変わる「レンタルスペース」の運営、という2つの側面をもった場所にしたい、ということに!

この店舗兼スペースのアイディアから、「いろいろなコト(体験)が芽生えるような場所になってほしい」との想いを込めて、「コト x 場(ば)」をもじった「コトメバ」と命名された。

ウエマツさんは「オムツなど子育てのために必要だけど、コンビニにはないものが置いていたり。ご利用者ひとりひとりに好きなものやこだわりがあるので(この銘柄の缶コーヒーしか飲めないという方もいたり)、ご利用者に寄り添ったものを仕入れたリクエストショップのような店舗を設けたい!」と、ほかにはない便利な「コンビニ」の構想を明かしていた。

また「レンタルスペースでは、ご利用者や障がいのある方が、いろいろな職業体験ができるような取り組みをおこなったり、地域の小中学生や子どもたちが関われたりと、多世代が交流できる場所にできたらと思っています」とスギムラさん。

別途、カフェスペースの設置・運営は決まっているため、カフェとの役割分担も明確にしつつ、「コトメバ」としての中身をこれから検討していきたいという締めくくりに。元のコインランドリー案から一転、とてもワクワクするスペースを作ろうとしていることがわかった。

ご利用者、スタッフ、地域全体が豊かになるような施設に

発表を受けて、今度はほかのプロジェクトメンバーと質疑応答の時間に。コンビニとしての機能については、「スタッフの必要なものだったり、ご利用者のこだわりの一品ばかりが並んでるのはめっちゃおもしろいね!」「商売として儲けたい、ということではなく交流の場だからこそ、物々交換できるものを置いてみても楽しいかも」「畑でつくっている野菜も販売できますね!」と早速さまざまなアイディアが飛び交っていた。さっそくプロジェクトメンバーみんなもワクワクしている様子。

レンタルスペースについては、「パソコン教室を開いたり、スタッフの得意なことを活かしたり挑戦できる場所になったらいいね!」とご利用者はもちろん、スタッフも輝けるような場所にしたいと意見が一致。部署を超えて、スタッフがやりたいことに取り組める場所になりそうな予感……!

発表を聞き終えて、何かを考えているように黙り込んでいた代表の佐藤さん。最後に意見を聞かれると、「いろいろとやりたいことを詰め込んでいる気がするので、コンビニです!なのか、フリースペースです!なのか、この場所が『なに屋さん』なのかもう少しハッキリさせられたら、地域の人にも認識してもらえるようになるのかな。今のところ、なにができる場所がわかりにくいので、施設の前を通りがかった人もなかなか入りにくい気がするね」とチクリ。

とはいえ、スタッフのやりたいこと・実現したことがまとまっていることが一番!ということで、交流が生まれる地域に開かれた施設にするため、内容や見せ方はこれからしっかりと詰めていきましょう! と、ランドリーに代わるスペースの活用は、「コンビニ」+「レンタルスペース」の「コトメバ」に決定! 

発表も終えて、ほっとした様子かと思いきや、スギムラさんもウエマツさんも「まだまだここから」といった感じでより責任感が強まった様子。

「今回の発表に向けて、スタッフから『こんなことをしたい!』と思っていることを聞けた、そのプロセスがすごくよかったですね。そこでより繋がりが強くなった感じもするので。だからこそ、できる限りみんなの想いを実現したいなという使命感とかワクワク感がより生まれました」とウエマツさん。

スギムラさんも「『コトメバ』の内容もそこで働く人もこれから具体的に決めていくことになるので、スタッフが主体的に関わりたいと思えるような場所にしたいですね。この取り組みや活動を通して、新しいものへの興味につながったり挑戦できるキッカケになったらいいなと思います」とご利用者はもちろん、スバルのスタッフが一丸となって参加できるように、より決意が固まったそう。

今回の発表を振り返って、佐藤さんは「今はご利用者も施設を選べる時代になってきているので、放課後デイから卒業する人が、我が子が次にどこへ向かって行くのかであったり、どんな活動をしているのかが分かる取り組みがとても大切になってきました。施設の中でずっとこもって内職をしてるとかではなく、もっと開かれたところで働くことに挑戦してみたりどんなに障害が重い方でも活躍ができるような工夫を考えたり、地域と繋がれたり広がりのある施設が必要だと思っています。そういった施設があれば、ご利用者にとっても、働くスタッフにとっても目指すべきゴールができて、生きがいや働きがいにも繋がってくるはずです。施設の中だけではなく、社会や地域の役に立てるような場所にしていきたい。ご利用者もスタッフも地域全体もみんなが豊かになるような、そんな施設にしたいですね」と、改めてヴィジョンをみんなと共有して、この日の会議は終了。

オープン予定は2024年の秋頃とまだまだ少し先。「コトメバ」のほかにもカフェが入ったり、また施設の正式名称はどうなるのかであったり……次回の潜入の頃にはどうなっているのか、新施設の完成まで乞うご期待!

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