SUBARU ワクワクで、未来を

Text by 大西健斗
Photography by 福家信哉

2023.06.10 ベテランスタッフに聞く
人生の谷あり山あり!

エリア リーダー

福井 友樹

1982年生まれ、大阪府羽曳野市出身。2004年に入社のベテランスタッフで、SUBARUイチのオールマイティー。新部署・エリアを設立し、人手が足りない現場に駆けつけたり、困りごとや悩みを聞いてスタッフの個性や特性に合わせた働き方を提案することが得意。音楽が大好きで、休日は曲を作ったりライブやフェスに出かけている。

働き方も仕事内容も人それぞれだからこそ、考え方も経験もいろいろ。ということで、あらためて仕事のことやスバルのこと、なかなか言えない本音まで、スタッフにじっくりと話を聞いてみるこの企画。
記念すべき第1回目となる今回は、ベテランスタッフの福井さんが登場。人財の育成や人手が足りていない現場に最適なメンバーを派遣する「エリア」という部署のリーダーをつとめています。スバルに入社したキッカケから、挫折した時の支えとなったこと、今の部署で大事にしている想いなどを明かしてくれました。

スバルで利用者さんと向き合い続けた20年

まずは福井さんがスバルで働き始めたキッカケについて教えてください。

兄が交通事故で中途障がいになって僕が最後まで兄を看ていくんだろうなと思っていたところ、親からも「介護の資格を取ったら?」と言われたのをキッカケに今の仕事を始めました。当時は20歳で、バンドをやっていたんですけど続けていくのは難しいなと思っていたタイミングで、兄がたまたまスバルの生活介護を利用していた縁もあり働くことになりました。

20歳から約20年勤めてこられた中で、特に印象に残っていることはなんですか?

数えきれないほどありますが、ガイドヘルパーとして利用者さんとの旅行が特に思い出深いですね! 当時はよく遠出や旅行をしていて。僕はスバルに入るまで海外に行ったことがなかったんですけれど、韓国やグアムにガイドヘルパーとして利用者さんと旅行できたのは特に思い出に残っています。それから働き初めの頃は児童も担当していたので、お子さんとプールや遊園地にいくことも多くて。介護の勉強をしてきたわけじゃなかったし、排泄介助など今までやったことないことばかりで最初は大変でしたけど、慣れてしまえばどうってことなく、楽しいことの方が多かったのでなんて最高な仕事だと思ってました。

働き始めて、変化したことや気づきはありましたか?

最初は精一杯やったので「利用者さんに喜んでもらうにはどうしたらいいかな」とか「安全に過ごすにはどうしたらいいのかな」ということばかり考えてました。だけど、ガイドヘルパー、グループホーム、生活介護などを経験させてもらうにつれて、利用者さんへの理解は増していくけれど、社内の人間関係でつまづくことが増えてきて……。というのも、そもそも福祉の仕事をしているぐらいなので悪い人なんていなくて、特にスバルで働いている人はものすごく利用者さん想いで、利用者さんのことを第一に考えてるんです。だけど利用者さんのことを想っているからこそ、スタッフ同士でやり方や考え方の違いで衝突することもあるんですよね。みんな利用者さんのことを考えて同じ方向を向いているのに、なんで支援者同士がうまくいかなかったり意見が合わないんだろうか、ということに興味を持つようになって。このエリアという部署ができるまで、自分自身も約15年ぐらいそこで思い悩んで辞めたいなと思ってました(笑)。

悩んでもがき苦しみながらも、辞めずに今も続けられたのはどうしてですか?

上司の植松さんのおかげです。僕より後に入ってきたんですけど、同い年で元々は友達だったこともあり、週に4日は一緒に家でゲームして遊んだりしていたぐらい仲が良くて。それがある日、仕事で悩んでいて、僕があまりにネガティブなことを言ってしまった時に、「なんでそんなこと言うねん!」とめちゃくちゃ怒られたんですよ。今までならそんなことを言う僕とは関わりが減っていく人が多かったので、怒られたことにびっくりして。それが怖くて、仲良かったのに僕が植松さんを避けるようになったんですね。そうすれば疎遠になっていくと思いきや、植松さんは僕のことをずっと追いかけてきたんです。「なんでそう思ったか、ちゃんと話してくれへんかったら俺は納得できない」と。僕がことあるごとに「会社を辞めたい」と言ったら、「なんでそんなん思うん。許されへん!」「辞めたいんやったら違う部署に行こう」と糸口を探してくれたり。僕がこの仕事に向いている何かがあると思って、そうしてくれてたと思うんですけどね。

同じく利用者さんのことを想っている同志であり、友人だからこそ引き止めてくれたのですね。

だけど僕は辞めたかったから、熱く追いかけられるのがすごく嫌で(笑)。それが10年ぐらい続いて……もはや嫌いになりそうやったんですけど、僕が結婚して、子供ができたりしたタイミングでプライベートでもとことん向き合ってくれることがあって。それと同時期に「お前のためにエリアという部署を作るから、好きなようにやったらええやん」と言われて、そこでようやくちゃんとこの人に向き合おうと切り替えられました。それが5年前ですね、僕のためにここまでしてくれたんだから、前向きに向き合わんとあかんと。それからは今のエリアという部署をいちから作っていくために夢中で働きました。それが今も仕事を続けている根源かもしれないですね。お世話になったとかでは言い尽くせない関係です。

スタッフからの信頼を集める、新部署「エリア」誕生秘話

現在のエリアという部署は、主にどういった業務を行っているのですか?

主に、新人や社内でつまずいた人を受け持って、社内のさまざまな仕事とその人の強みをマッチングして調整したり。産休や育休、体調不良や急な退職で人手が不足したところに、その仕事に適任のエリアメンバーを派遣して補う役割を担ってます。

それこそが福井さんのやりたかったことだったわけですね。

やりたかったことでもあり、自分にできることだったという感じですね。最初は、僕がこの20年でいろんな部署を転々としてきた現場経験を生かして、人手が足りない部署に助っ人として入ってサポートすることがメインでした。エリアができた頃は、まだなにもない状態でシフトも真っ白だったので、それぞれの部署に「人手が足りないところはありますか?」と聞きながら、「僕が空いてるところに行きます!」と言った感じで自分でシフトを埋めて、自分で自分を派遣していくようなところからスタートして。この働き方に自信がついてきた頃に、先輩方からも評価してもらえるようになり、今では社内全体を知っているからこそ新入社員の面接を任せてもらったり、中途採用の人にはまずエリアを介して各部署で働いてみてもらったりするようになりました。それから、かつての僕と同じように人間関係でつまづいたり仕事に疲れてしまった人を受け入れて、その人に合った働き方や部署を一緒に探す手助けにもなる部署になったと思います。このエリアを通して、どこでも働ける人になってほしいなと思っています。

かつての福井さんの経験を最大限に活かせる、そしてより働きやすい環境を考えてくれる部署なのですね。

その人らしく働ける場所に異動してもらって、そこでも合わないと思ったならまたエリアに戻ってきてもらうこともあります。エリアでは、その人が自分らしく会社に貢献できることを第一に考えていますね。スタッフが利用者さんのことをとことん考えて働いてるように、僕は社内の環境だったりスタッフのことをとことん考えたいなと。楽しいことは楽しいのと同じように、しんどいことはしんどいと思っていいんじゃないかなと思うので。それから、自分自身を大切にするように自分も周りのみんなもプライベートも大切にしながら働くようにと伝えて、心がけています。仕事とプライベートを全部ひっくるめて、その人らしさやなと思っているので、エリアでは休みの調整を柔軟にしていて、その代わり仕事も頑張ってねと。僕自身もライブとか音楽フェスが好きなので、「フェスに行きたいから現場頼んだで」とお休みをもらったり、代わりに「休みたい日あったら任せて休みや」と休んでもらうこともあって。そうすると、みんなさらに活き活きと働いてくれるようになったと思いますね。

エリアでの仕事を通して、印象的なできごとはありますか?

ある時、態度の悪い子がエリアに来たことがあって。僕は最初の面接で「そういうところが良くない!」とはっきり伝えたんですね。そしたらその子も「なにがあかんのですか」と言ってきて。その時に「君の良くないところしか知らんから、今からいいところ見つけていくから。その代わり君も僕に遠慮せずに、いいところも悪いところもめちゃくちゃ言ってくれ」と。そしたら1ヶ月ぐらいでボロカスに言われたんですよ(笑)。「先輩、やる気ないじゃないですか」と言われて「ごめん、眠たくて」というやりとりがあった日も。だけどそのおかげで、一気に関係性も深くなって「相談しやすいです」と言ってくれたり、今ではツーツーの関係になれました。先輩後輩、上司と部下ではなく、やっぱり人と人やなと再認識できたというか。その子もエリアを通して自己覚知ができたみたいで、僕も他者理解がよりできるようになりました。今では僕の考えてることもわかってくれて、素早く仕事もしてくれるので感謝しかないです。なので、エリアでは人のいいところ、悪いところもお互いにちゃんと伝える、そして受け入れるということを大事にしています。そうすることで自分では気づけなかった良いところや悪いところに気づけたりすると思うので。

思っていることを開示できるからこそ、お互いにまだかまりなく仕事に集中できそうですね。

もうひとつ、20歳ぐらいの子がエリアにやってきたことがあって。態度が良くないとある部署から指摘があったんですね。仕方ないから、その子のシフトを抜いて渡したらびっくりしていて。事情を説明してどうしたいか聞いてみると「働きたいです」と。「それなら謝りにいくしかないね。自分のダメなところを、どうやって改善するかちゃんと話しに行こう」と伝えて「ここで使ってもらえないですか」と一緒に話をしにいったんです。そこから心を入れ替えたように働いてくれて、今まで以上に力を発揮するようになったということがありました。今では「この人がいると助かる!」「うちもこの人がいないと……」というところまで評価されるようになって。あとあと聞いたら、「あの時、福井さんが一緒に謝ってくれたから、頑張らなあかんなと思って」と言うんですね。その時、かつて植松さんが、僕にこういうことをやってくれてたんやなと気づいて。こうやって向き合ってくれて、こんなにも大変でしんどいことをいつもやってくれてたんか。僕が嫌やとか言ってるのを、怒ってでも前向かせようとしてくれたんやと思うと、涙が出てきました……。

最後に、スバルはどんな人に向いてる会社だと思いますか? 

特に若い子たちには「チャレンジしたいことを常に持っていて」と話していて。周りにこんなことを言われたからといってブレちゃうと面白くなくなっちゃうし、そこが絶対にブレなければ、どれだけ辛くても立ち直ることができるからと。なので、やってみたいことや叶えたいことがある人には特に向いていると思います。とてもチャレンジしやすい会社ではあると思うので!

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