SUBARU ワクワクで、未来を

Text by 大西健斗
Photography by SUBARU inc.

2026.08.19 “食”が地域の交流と笑顔を育むムカイノベースとスバルフェスの未来

さまざまな人にフィーチャーするfeat.〇〇。今回は、地域と福祉が交差する「ムカイノベース」オープン後の反響や、2025年10月11日に開催された2回目の「スバルフェス」ついてインタビュー。「ムカイノベース」と併設のカフェ「日々のお台所」の管理スタッフである植松さんと栄養士の辻さん、そして「スバルフェス」のプランナーの小林さんと一緒に振り返りました。お話は「ムカイノベース」も「スバルフェス」も、“食”が交流を生み、みんなを笑顔にするということ。カフェ運営、イベント開催の試行錯誤の中で見えてきた手応えと課題、そしてこの場所から繋がりを広げていきたい未来について、たっぷりとトーク!

『みんなでおどろう! 第2回スバルフェス』

開催場所:スバル本社 羽曳野市向野2-6-18
(新施設「ムカイノベース」でも同時開催)

開催日時:2025年10月11日(土)

スバル・トータルプランニング株式会社

取締役/企業主導型保育園「リリット」施設長 植松 千鈴 さん

制度も十分に整っていなかった時代に、母が重度の障がいのある兄に「してあげたいこと」を一つひとつ形にしてきたことから始まったスバル。
その原点にある「利用する人を一番に考える」想いを大切に受け継ぎ、時代に合わせた福祉、保育、食のあり方を追求中。
自身が好きだったものや大切にしてきたことを詰め込み、からだにやさしく、見ても食べても楽しめる食の提供を通じ、人と人が自然につながる場所を目指している。
趣味は旅行(各地の美味しいものを食べること、新しい景色に出会うこと)。

スバル・トータルプランニング株式会社

栄養士 辻 かえで さん

1998年生まれ、大阪府八尾市出身。
辻学園栄養専門学校卒業後、「企業主導型保育園リリット」にて給食調理、献立作成、食育活動等を担当。
子どもたちと日々の食事を通して関わる中で、「食べることの楽しさ」や「食を通じた人とのつながり」を大切にするようになる。
現在は「日々のお台所」にてメニュー開発や調理に携わる。
「美味しかった」「また来たい」と思ってもらえるお店作りを目指し、日々料理と向き合う。
また、年齢や立場、障がいの有無に関わらず、地域の人が気軽に集い一緒に楽しめる場所作りにも取り組み中。
趣味は料理、映画鑑賞。

スバル・トータルプランニング株式会社

ディレクター/プランナー 小林 真由美 さん

1974年生まれ、大阪府大阪市出身。
四天王寺国際仏教大学(現四天王寺大学)短期大学部時代はボランティアクラブに所属し、障がい者と学生だけの外出や旅行の企画担当と責任者を務める。
卒業後は、グループホーム、入所施設で支援経験を積む。
スバルは今年10年目。ヘルパー業務や放課後等デイサービスを経て、現在は相談支援センターの管理者として勤務中。
また、ムカイノベースのプランナーとして「#地域を楽しむ地域と楽しむ」イベントの企画、実行に挑戦中。
趣味は水泳、登山、旬の野菜を使った料理、Mr.Children

ゼロから始めた「ムカイノベース」が少しずつ福祉と地域が交差する拠点に

「ムカイノベース」とカフェ「日々のお台所」が無事オープンしてしばらく経ちますが、反響はいかがですか?

 準備からオープン直後までは、メニューもまだ安定しておらず、慌ただしい状態が続いてあっという間でした。最近はようやく落ち着いて、リピートしてくださるお客様も少しずつ増えて、メニューの方向性も見えてきたかなと感じています。とはいえ、まだまだこれからですね。

植松 本当にゼロから、むしろマイナスぐらいからのスタートでした。
カフェをオープンすること自体が初めてだったので、これで合っているのか間違っているのかも分からないまま、一つひとつ形にしていくような感じで。今では保護者の方や近隣のみなさん、スタッフもリピートしてくれています。当初に思い描いていた「地域の拠点」が、少しずつ形になってきていると感じていますし、やって良かったなと。店内では、近所の方同士が「〇〇さんや!」と名前を呼び合って話していたり、「〇〇さんから聞いて来たんです」と言ってくださる方もいたり。
ここが障害福祉に関わる施設だと知らずに来られる方もいれば、障害のあるお子さんにカフェを利用する経験をさせたいと来られる方も。想像していた以上のペースで、いろいろな方に知っていただけていることがありがたいですね。

※ムカイノベース/日々のお台所について。
https://mukainobase.com

みなさんに足を運んでいただくにあたって、メニューづくりなどで大切にしていることは?

 一番は、やはりおいしく食べてもらえるものを作ることですね。その上で、できるだけ南河内の旬の野菜を取り入れるようにしています。普段の給食づくりとは、使う調味料や調理方法ガラッと変わるのと、私自身が飲食店のキッチンで働いた経験があったわけではないので、本当に手探りではあるんですけど、ランチメニューは1ヶ月ごとに変わるので必死で考えています(笑)。
季節の野菜を買いに道の駅へ行く中で、私は旬や価格の変化について勉強したり、利用者さんも買い出しを手伝ってくれたり、みんなで楽しみながら取り組めていると思います。

植松 地域の農家さんとのつながりが生まれたのもいいところですね。
このあたりはイチジクが有名なので、たくさん仕入れた時にスイーツを作ったところ、すごい人気メニューになりました!
今はランチが中心だけど、今後はスイーツにも力を入れていきたいですね。今は午後2時以降が人の出入りが少なくなるので、これからはもっとイベントを企画したり、作家さんにフリースペースを使ってもらったり、障害のある方を含め、もっといろいろな人が利用できる場所にしていきたいと思っています。

さきほどご利用者さんにも買い出しを手伝ってもらっているというお話もありましたが、カフェでは他にどんなお仕事をされているのですか?

植松 食事の配膳もお願いしています。始める前は、配膳やお客様との関わりはハードルが高いかなと思って最終目標にしていたんですけど、プレオープンの段階から自然に配膳をスタートできて。
他にも厨房で食事の下処理や準備をしたり、洗い物や掃除をしたり仕事の一部として捉えてくれて、積極的に取り組んでくれています。お客様も、利用者さんが配膳していることを特別に気にされるわけではないので。働くスタッフもお客さんも、みんな分け隔てなく同じ場所にいる状態が自然にできていますね。利用者さんがお休みの日には、人手が足りなくて本当に困るんです。いてくれたら助かるというより、今では、いてくれないと困る存在ですね。
「支援する側とされる側」ではなく、一緒に働く仲間として関われていることが嬉しいですね。最近は、ご利用者さんとコーヒーの焙煎にもチャレンジしています。作業や品質が安定すれば、「日々コーヒー」として商品化したいですね!

小林さんは、念願のカフェがオープンしていかがですか?

小林 メニューや献立が素晴らしいので、一人でよくふらっと利用しています。スイーツを食べたり、おいしいコーヒーを飲んだりできるところもいいし、スタッフとか近所の方とか、行けば誰かがいる、という環境になっているところも嬉しいポイントですね。最近は市役所の職員さんとか小学校の先生など、「行ってみたい」と言ってくださる方も増えてきました。地域の方からも「いつでも行っていいの?」「誰でも行っていい場所なの?」と声をかけてもらったり。「地域に開かれた場所にしたい」という思いで作った場所が、少しずつ、本当にそういう場所になり始めているなと感じますね。

「スバルフェス」初の2会場開催!食を通して交流。みんなが輝ける場所に

ムカイノベースのオープン後、「スバルフェス」が初めての大きなイベントですね。日々のお台所ではドリンクやデリ、スイーツを販売し、本部会場ではカレーや焼きそばが振る舞われたと思いますが、振り返ってみていかがでしたか?

 私は焼きそばを担当して、200食近く作りました。ひたすらフライパンを振り続けていたので、かなりの体力仕事でしたね(笑)。でも、普段のカフェとは違った楽しさがありました。焼きそばも生駒さんがこだわって作ってくれたカレーも完売して。

「カレーといえば生駒」という評判は聞いています(笑)。

生駒 過去のお祭りでもカレーを作る担当になっていたので、今回のお祭りでもカレーを作らせていただきました。回を重ねるうちに「もっと美味しくしたい」という思いが強くなり、前回はトッピングを選べるようにしたり、今回は牛すじを加えたりと、ずっと工夫を重ねながら試行錯誤しています。

 カレーを食べた方が、みんな「とてもおいしかった」と言ってくれてましたよ!

生駒 今回のお祭りでは、スタッフで力を合わせてカレーを作り上げることができたので、それぞれが役割分担して、協力しながらひとつのものを完成させることで、「チームで動くことの大切さ」を改めて実感しました。カレーが “人と人をつなぐ料理” だと感じる、とても良い経験になりましたね。

小川 私が印象に残っているのは、食を通してスタッフ同士のつながりが生まれたことです。当日は急きょ守口のお店が人手が足りなくて手伝いに入っていたのですが、羽曳野のスタッフさんが「全然食べに行けてへんのちゃう?」と心配して、「何か買ってきましょうか」「カフェオレおいしかったよ」と声を掛けてくださったんです。おいしい食べ物や飲み物があったからこそ、自然に会話が生まれたんだと思います。それから、当日いろんな人にインタビューして感想を聞いていたんですけど、本部で食事をしていた方に「おいしいですか」と聞くと、にっこりして「うん」と答えてくださって。おいしいものを食べている時は、みんな笑顔になるし素敵な時間やなと思ったのが、印象に残っています。

イベントでは、ご利用者さんや子どもたちの普段とは異なる姿も見られましたか?

小川 大きな音やマイクの音が苦手で、普段は耳をふさいでいることが多い子たちも、ステージではマイクを持って、とても大きな声で堂々と歌っていたり、思いっきりダンスをしている利用者さんもいました。社会はどうしても定型発達の人に合わせて作られているところがあるので、発達障害のある方や音が苦手な方には、生きにくさを感じることもあるはずなんです。そういう人もしんどさを忘れて輝ける場所があることは、とても素敵だと思いました。

強いて、こういうところを改善できると、もっとよくなるなと感じたこともありますか?

小川 今回初めてムカイノベースと本社の2箇所で開催してたので、人の流れの誘導だったり、お客さんがどちらかに偏らないように動線をもっと工夫できたらなと思いました。たとえば、周遊していただけるようにスタンプラリーを設置したり、みんなでアイディアを出して改善していけたらなと思います。ほかにも、たませんにスバルのロゴをデザインしたり、お客さんが自分でトッピングできたりとかできると楽しいかなと話してました。

小林さんは、今回の「スバルフェス」を振り返ってみていかがでしたか?

小林 一番難しかったのは、2つの会場をどう繋いで、両方に足を運んでもらうかということでした。さらに地域のお祭りと日程が重なっていたこともあり、出店予定だった外部の方が相次いでキャンセルになったり……開催直前まで調整が続いたのも大変でしたね。開催半月前に参加した「南河内スマイルフェス」で名刺を配って出店者を探したりしたことで、何とか出店者を集めて実現できたので、その点も大きなチャレンジでしたね。
なにより、「ムカイノベース」が気になっていた人や初めて知ったという方にも実際に足を運んでもらういい機会になったので、会場を1か所に集約せず、あえて2か所で開催することに挑戦して良かったと思います。あとは、「日々のお台所」で大切にしていることを、どう地域と繋げて展開していくか、もっと意識した取り組みをやっていけると良いのかなと。今年はオープン直後で、十分に準備できなかった部分もありましたが、次回は1月から動き始めているので、9か月かけるプロジェクトにしたいと思っています。3度目の正直ですね!

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